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上告

最高裁・高裁に共通の上告理由

 * () 憲法の違反(312条1項) 

  • 重要な手続違背(絶対的上告理由)(312条2項)  これらの手続違背がある場合には、判決内容の当否にかかわらず、原判決を破棄しなければならない(325条1項1文前段)。
  • (1号)判決裁判所の構成の違法  裁判官の資格を有しない者(例えば司法修習生、弁護士)が判決裁判所の一員となることは許されない。判決裁判所は、口頭弁論に関与した裁判官によって構成されるべきものとされており(249条1項)、その違反もこれに該当する。
  • (2号)関与の許されない裁判官の関与  23条1項所定の除斥原因のある裁判官が判決内容の形成に関与することは、許されない。
  • (2号の2)日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと  日本の法令(例えば3条の5)が日本の裁判所の専属管轄を規定している場合に、原審が日本の国際裁判管轄権を否定して訴えを却下した場合が代表例である。その外に、日本の法令が日本の裁判所の専属管轄を定めている場合に、外国裁判所が自国の国際裁判管轄を肯定してくだした判決が確定したときに、原審がそれを承認して執行判決その他の判決をしたことも、これに該当しよう(118条1号、民執法24条3項参照。日本の法令が日本の裁判所の専属管轄を規定している事件について、条約が外国裁判所の管轄権を肯定しているときは、特別規定として、条約が優先する)。
  • (3号)専属管轄規定の違反  ただし、6条1項の専属管轄は、弱い専属管轄であり、東京地裁も大阪地裁も同項所定の知的財産事件を処理するだけの資源が用意されているので、その相互間での専属管轄違反は、絶対的上告理由から除外されている。
  • (4号)代理権の瑕疵(代理人として訴訟行為をした者が、法定代理権、訴訟代理権を欠いていたこと、又は代理権を有していても必要な授権を欠いていたこと)
  • (5号)口頭弁論の公開の規定(憲法82条等)に違反したこと
  • (6号)判決理由の不備(判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること)  これは、主文を導き出すための理由について、(α)その全部若しくは一部が欠けていること[2]、又は(β)食違いがあること[8]をいう((α)について最高裁判所 平成11年6月29日 第3小法廷 判決(平成10年(オ)第2189号)参照)。

上記のうちで、1号・2号・4号はその全部が、6号はその一部が、再審事由でもある(338条1項参照)。他方、再審事由でありながら絶対的上告理由として明規されていないものもいくつかある。それも絶対的上告理由に準じて扱うべきであり、325条2項による救済にとどめるべきではない。例:

  • 最高裁判所 平成9年7月17日 第1小法廷 判決(平成4年(オ)第1443号)  「登録された商標権が有効であることを前提に判決がなされた後で商標登録を無効とするとの審決が確定して商標登録が抹消された場合には、これは民訴法338条1項8号所定の再審事由に該当しうるものであるから、判決確定前の段階で上告審はこれを考慮して裁判すべきである。」
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